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国内でも珍しい「漏れ」に特化した企業が推進するSDGs

国内でも珍しい「漏れ」に特化した企業が推進するSDGs

リークラボ・ジャパンが手がけるエア漏れ診断サービスの現場

エア漏れ診断でSDGsに貢献

リークラボ・ジャパン(大阪市港区)は、国内でも珍しい「漏れ」に特化した企業。工場でのエアやオイル、各種ガスなどの漏れ対策に寄与する製品を世界から調達している。前身は物部智人社長の父が立ち上げた眞洋商会で、米国製のオイル添加剤の輸入販売を手がけていた。「漏れ」に関する仕事が増加してきたため「製品販売よりもソリューションを提供したい」(物部社長)と、2013年4月に社名変更した。

工場現場でのエア漏れなどの対策は、生産に直結しないので、どちらかといえば重視されなかった。しかし、エアが漏れるとそれだけ電力使用量が増え、損失コストは無視できない。同社の試算では、13台のコンプレッサーを使用する工場の場合、損失は年間約162万円にのぼるという。またエアが漏れるとコンプレッサーが過剰に作動するため消費電力が増える。漏れ対策を施せば、間接的に二酸化炭素(CO2)の排出減につながり国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献できる。

CO2排出量を試算すると、1工場で47カ所のエア漏れが発生した場合、消費電力は約1万5000キロワット時となり、排出係数を掛けると年間約6・5トンにのぼる。漏れ対策はSDGsの9項目に合致するという。

奈良県生駒市に建設中の新本社

従来は輸入機器の販売が中心だったが、エア漏れ診断サービスも立ち上げた。同社のスタッフが工場に出向き現場を診断して漏れカ所を特定。漏れ量などを計測して損失コストやCO2排出量などを算出する。リポートを提出して対策案をアドバイスする。まだ専任スタッフ4人だが、早期に10人規模まで拡大する。「成果が出ると利益になる。顧客が儲かり当社も儲かり環境にも貢献できる。現代の〝三方よし〟だ」(同)。23年度は100件を目標にする。

同社は本社を奈良県生駒市に移転する計画を進めている。緑にあふれた社屋で、自然と調和したビジネスを目指す。物心両面で幸福感を享受できる新天地だ。「会社の成長は社員の成長」という物部社長の持論を実現する場になりそうだ。

日刊工業新聞 2023年2月7日

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