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生産能力5倍へ、三菱電機がSiCパワー半導体の8インチウエハーで新工場

生産能力5倍へ、三菱電機がSiCパワー半導体の8インチウエハーで新工場

三菱電機が熊本県菊池市に建てるSiC8インチウエハー対応新工場棟(イメージ)

三菱電機は、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の8インチウエハー生産に対応する新工場棟を熊本県菊池市に建設し、2026年4月に稼働する。同合志市のSiC6インチ対応の既存工場も増強する。SiCのウエハー枚数ベースの生産能力は26年度に22年度比約5倍に増やす。21―25年度のパワー半導体の設備投資計画は従来比2倍の約2600億円に引き上げ、脱炭素社会に向けた省エネルギーや電動車向けのニーズを取り込む。

新工場棟は液晶モジュールを生産していた拠点の敷地内に建設する。同拠点の既存の2棟も活用する。合志市の6インチ対応の既存工場の能力増強と合わせた投資額は約1000億円を見込む。その他に、福岡市西区の拠点は約100億円を投資して後工程の新工場棟を建て、海外も中国安徽省合肥市などの後工程の増強に約200億円を投資する。

現在のSiC半導体の国内市場規模約500億円のうち、三菱電機のシェアは10%台半ばと見られる。三菱電機のSiC半導体はほほ国内向けで、半分以上が鉄道や産業用途だが、すでに自動車向けの採用実績もある。

SiC半導体は世界で需要が大きく伸びる見通しで、国内ではロームが24年をめどに8インチウエハーでの生産を計画する。経済産業省はSiCを中心とするパワー半導体に2000億円以上を投資する企業1社を選び、業界再編も視野に入れて集中支援する方針。三菱電機はこれに対し、「対象となる補助金があれば検討する」としている。


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日刊工業新聞 2023年03月15日

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