三菱重工が世界初、液体窒素を冷熱エネ源に発電実証成功
三菱重工業は28日、子会社の三菱重工マリンマシナリ(長崎市)と、有機ランキンサイクル(ORC)発電で用いる完全密閉型オイルレス構造のタービン発電機を冷熱発電に応用した100キロワット級発電の実証試験に成功したと発表した(写真)。通常の液化天然ガス(LNG)ではなく、さらに低温の液体窒素を冷熱エネルギー源に利用した。同様の事例は世界初という。将来はさらに低温の液化水素による発電への応用を視野に入れる。
三菱重工の総合研究所長崎地区(同)で実証した。冷熱発電は温度差のエネルギーを回転力として取り出して発電する。沸点がマイナス約196度Cの液体窒素というLNGより厳しい条件でも、冷媒サイクルの安定性や所定の回生出力を得られると証明した。従来よりもタービン構造の信頼性を高めた。
船舶用燃料ガス供給システムなど実際の気化設備を想定して試験し、冷媒サイクルの特性把握などの成果を得た。LNG冷熱発電の安定化と信頼性向上が見込める。マイナス約253度Cの液化水素による冷熱発電に将来応用できれば、水素の燃料需要を拡大できるとみる。
日刊工業新聞 2023年03月01日