コマツが中国一極生産部品をマルチソース化、3カ国に調達拠点
コマツは5月にインドとインドネシア、タイの各現地法人に「アジア調達センター」を設立する。米中対立など地政学リスクに備え、サプライチェーン(供給網)を見直し、建設機械などの部品調達のマルチソース(複数社)化を一段と進める狙い。中国一極生産部品のマルチソース化をはじめ、アジア現地法人の間でクロスソース(相互供給)を促進。日米欧向け部品のクロスソース拡大についても検討する。
アジア調達センターはインドのコマツインディア(KIPL)、インドネシアのコマツインドネシア(KI)、タイのバンコックコマツ(BKC)の工場内に設立する。それぞれ数人規模。
コマツは世界各地に工場を持つ強みを生かし、為替や生産力の変動に応じて基幹部品を日本から供給、海外工場で組み立てるグローバルソーシングを進めている。地政学リスクを鑑みて「クロスソーシングに加えてマルチソースの考え方を取り入れることが必要」(小川啓之コマツ社長)とし、対応を急ぐ。
同社の建機・車両部門の2022年4―12月期の地域別売上高はアジア14%、中国3%、北米26%。アジアの構成比率は前年同期比3ポイント上昇した。アジアは鋼材や部品を日本より安く調達でき、輸送費の面でもメリットがあるため、現地法人の間でクロスソースを促進し競争力を高める。
製缶部品はこれまで中国製が多かった。また22年の上海ロックダウン(都市封鎖)の際は運転席のシート部品の中国からの供給が滞った経緯もある。中国一極生産部品をインドなど他のアジア諸国からも調達できるようにし、耐性向上を図る。
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日刊工業新聞 2023年02月17日