「最近のトヨタになかったクルマ」 章男社長が拳を突き上げ喜びを爆発させた!
「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」といった車の新技術が注目される中で、車メーカー各社は車本来の魅力を追求したモデルにも力を入れている。10―12日の3日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開かれたカスタムカーの祭典「東京オートサロン」では、既存車の走りに磨きをかけたコンセプトの発表が相次いだ。ドライバーが自らの意志で操作して走るという車の楽しさを体験できる新モデルが競演した。
トヨタ自動車は、2月に発売する小型車「ヤリス」をベースにしたスポーツ車「GRヤリス」を初公開した。新開発のスポーツ4輪駆動(4WD)システムにより、高い走行安定性を実現した。会場を訪問した豊田章男社長は記者団の取材に応じ「(GRヤリスは)レースで得た知見から市販車を開発するという、これまでとは逆転の発想でトライした」と強調した上で、「最近のトヨタにはなかった手法で、『ファン・ツー・ドライブ(車を運転する喜び)』を感じてほしい」と話した。
「シビックタイプR」限界へ
ホンダは2017年の発売以来初の改良となるスポーツカー「シビックタイプR」を初公開した。走る・曲がる・止まるといった基本性能を磨き上げ、前輪駆動(FF)最速の走りとバランス性能を意識した仕上がりになった。モータースポーツで培った技術を市販車にフィードバックし車の性能アップにつなげている。寺谷公良ホンダ執行役員は「サーキットにおける走行性能の限界を高めた」と自身を見せた。
SUBARU(スバル)も年内に全面改良するスポーツワゴン「レヴォーグ」の既存車では最上級グレードとなる「STIスポーツ」の試作車を初公開した。スバル車初となる「ドライブモードセレクト」を採用し、パワーユニットやステアリング、ダンパー、全輪駆動(AWD)システムの制御を変更できる新機能を備えた。快適な走りからスポーティーさまでボタン一つで変更できる。五島賢商品企画本部プロジェクトゼネラルマネージャーは「運転手の気持ちに応じて車の性質を変えることを追求した」という。
東京オートサロンはカスタムカーの展示やアフターパーツなど関連製品の展示販売、デモ走行といったイベントが詰まった毎年開催の車の祭典。来場者数は例年30万人以上となり人気が高まる。近年は車メーカーが意欲的に新車やコンセプトカーを展示するほか、今回は日産自動車などがモータースポーツの参戦計画を発表するなど車の魅力を多角的に発信している。 (松崎裕、名古屋・長塚崇寛)【関連記事】 VWやホンダが新しいクルマ作りで必ず頼りにする機械メーカー
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