トヨタが「レクサス」新型SUVの生産を「東日本」で始めるワケ
トヨタ自動車は2023年前半をめどにトヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)で高級車ブランド「レクサス」の新しい小型スポーツ多目的車(SUV)の生産を始める。生産台数は月4000―5000台程度とみられる。トヨタ東日本でレクサス車を生産するのは初めて。小型車を得意とするトヨタのノウハウを生かし、自動車メーカー各社が力を入れる小型SUV市場での競争力を高める。
新型車は小型車「ヤリス」のプラットフォーム(車台)を活用する見込み。レクサス車としては小型SUV「UX」を販売しているが、新型車はUXより小さい車型になるとみられる。レクサスブランドを初めて購入する層への訴求力を高めると同時に、顧客ニーズにきめ細かく応えることで販売増につなげる考えだ。
一方、レクサスのハッチバック車「CT」の生産を22年末までに終了する見通し。CTは11年から発売していたが、販売が伸び悩むなどの理由で生産終了を決めたようだ。
これまでレクサス車は主にトヨタの田原工場(愛知県田原市)とトヨタ自動車九州(福岡県宮若市)で生産していた。トヨタ東日本はヤリスや小型車「アクア」などを手がけ、コスト管理の厳しい小型車の量産に強みを持つ。加えてレクサスブランドの新型車を生産することで東北の被災地復興や事業継続計画(BCP)対応などにつなげるとみられる。
SUVはデザインや走行性などから国内外で人気が高まる。日本自動車販売協会連合会(自販連)によるとSUVの21年1―6月期の国内販売台数は前年同期比27・8%増の35万4922万台。小型SUVでは、20年にトヨタが「ヤリスクロス」を、日産自動車が「キックス」を発売した。21年4月にはホンダが新型「ヴェゼル」を国内投入するなど各社が製品群を拡充し競争が激化している。
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日刊工業新聞2021年9月7日