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日本勢参画次世代小型原発「SMR」プロ本格化、商用化へ実績積み上げたい企業たち

日本勢参画次世代小型原発「SMR」プロ本格化、商用化へ実績積み上げたい企業たち

BWRX-300のイメージ図

日本勢が参画する次世代小型原発プロジェクトが海外で本格化する。日立製作所が出資する米GE日立・ニュークリアエナジー(GEH)が参画するカナダ・オンタリオ州の原発で、同国政府系銀行が小型モジュール炉(SMR)建設に約1000億円(9億7000万カナダドル)の投資を決めた。米国とウクライナによるSMRから水素とアンモニアを生産する実証プロジェクトにはIHIや日揮ホールディングス(HD)が参画する。脱炭素やエネルギー安全保障をめぐり次世代原発の重要性が世界的に高まる。

SMRは小型で建設費を抑えられ、外部電源が喪失しても自然冷却できるため安全性が高いとされる。このほど、カナダインフラストラクチャ銀行(CIB)が、オンタリオの州営電力会社オンタリオ発電(OPG)と投資の契約を交わした。OPGが同州のダーリントン原子力発電所に隣接して最大4基のSMRを建設する。

OPGは早ければ2028年にSMRの運転開始を目指しており、GEHもそれまでに「BWRX―300=写真」の初号機を完成する計画。金融機関の支援を受け、日本勢が関わるSMRの初の商用化が近づく。

カナダではサスカチュワン州でも30年代半ばの導入を目指すプロジェクトでGEHの「BWRX―300」が選定済み。GEHは21年にカナダでSMR設置の事業会社をつくり現地のサプライチェーン(供給網)構築を進めている。GEHはカナダ以外でもポーランドやエストニア、チェコでもSMRの導入計画を進めている。

【米・ウクライナ実証】IHI・日揮参画

一方、日揮HDとIHIは、出資先の米ニュースケール・パワーとともにSMRの技術開発を進める。米国とウクライナの実証プロジェクトには、両国機関や日本勢のほか斗山グループなど韓国企業も参画。SMRから商業規模で水素やアンモニアを生産できるかなどを検証する。10月には日米両政府がガーナのSMR導入を支援すると発表。日本政府は日揮HDやIHIなどがガーナで行う事業化調査を支援する。

ロシアによるウクライナ侵攻で世界のエネルギー供給が逼迫(ひっぱく)するなか、脱炭素社会の実現と経済成長に必要なエネルギー需要を満たすために、安全性の高い次世代原発への期待が高まっている。日本国内では運転停止している原発の再稼働が当面の課題だが、新増設や建て替えなどの議論も始まる見込み。日本勢が関わるSMRなど次世代小型原発は海外から商用化を進め、実績を積み上げていく構えだ。

日刊工業新聞 2022年11月21日

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