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三菱電機と三菱重工が「発電機事業」統合へ、検討開始の理由

三菱電機三菱重工業は、両社の発電機事業の統合に向けて具体的検討を始めることで基本合意した。2024年4月の統合を目指す。統合する事業範囲などは今後詰めるが、新会社は数百億円の事業規模となる見通し。

エネルギー安全保障の流れを受け、世界でLNG(液化天然ガス)火力発電所の新設が増え、原子力発電所や再生可能エネルギー拡大に伴う電力系統安定化でも発電機の需要が見込まれる。技術や資産を統合しグローバルに事業拡大するため競争力を高める。

受け皿の共同出資会社を設立し、三菱電機が過半以上を出資すると想定する。発電プラントの重要設備である大型発電機と関連設備の計画、設計、開発、製造、販売、アフターサービスまでが統合対象となる予定。両社とも業績への影響は明らかになった段階で開示する。

三菱重工は大型発電用タービンで世界トップシェアを握る。従来、自社のタービンに三菱電機の発電機を組み合わせてきた。14年に日立製作所と火力発電事業を統合し、旧日立製の発電機を手にしたが、日立との統合会社は既に三菱重工本体に吸収した。今回の統合で三菱電機と旧日立の発電機事業が統合される格好だ。

三菱電機の発電機も三菱重工が主要顧客であり、事業統合した方が収益力が高まると判断した。事業拡大を狙う上で国際的な競争力の強化が必要との認識も両社で一致した。

今後、新興国の電力需要増やエネルギー安全保障への意識の高まりに伴い、火力発電は既存設備を活用しながら水素やアンモニアなどへ燃料転換が進む。

天候で発電量が左右される再生エネの導入拡大で課題となる電力系統安定化でも、タービン発電機の持つ調整電源としての役割が期待される。


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日刊工業新聞 2022年12月27日

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