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「核融合」産業化へ、協議会発足で民間企業の技術結集

政府は「核融合産業協議会(仮)」を設立する方針を固めた。国際熱核融合実験炉(イーター)などで培った技術を生かし、核融合産業のサプライチェーン(供給網)構築を目指す。量子科学技術研究開発機構(QST)を中心に民間企業の技術を結集。産学官の連携体制を構築する。公的補助などで民間の参入やスタートアップの育成を後押しする。

このほど核融合発電の国家戦略の骨子案を取りまとめた。核融合産業の予見性を高めるため、発電実証時期を早期に明確化する。産業ニーズを可視化するため、技術成熟度を記載した核融合発電に関する技術マップなどを作成し、経済安全保障の視点も踏まえて取り組むことなどを盛り込んだ。

また、産官学の有識者などが参加する核融合エネルギーフォーラムを発展的に改組し、産業化に向けた議論を活発化させる方針。スタートアップを含めた民間企業の保有する技術シーズと産業ニーズのギャップを埋める支援を行う。

1月30日に開いた有識者会議では、核融合開発を推進するには現在の2倍程度の人員が必要だとする意見が出たほか、核融合炉を運転する人材確保・育成も重要になると指摘があった。こうした意見を踏まえ、3月にも国家戦略を策定する。

核融合発電は発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない脱炭素エネルギーとして期待される。近年は米国や英国、中国が独自に核融合戦略を打ち出すなど、各国が産業化に力を入れ始めている。

日刊工業新聞 2023年02月01日

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