燃料使用量4割削減、豊田織機が空間静電気除電システムに新技術
豊田自動織機は製品不具合の原因となる空間中の静電気を取り除く際に液化天然ガス(LNG)の使用量を従来比で4割削減できる技術を確立した。従来は空調と蒸気ボイラで空間全体を加湿して静電気を除去していたが、エネルギーを電化すると同時に作業範囲だけ除去できる新システムを開発し、ムダを減らした。生産現場の二酸化炭素(CO2)排出削減につなげる。
DC―DCコンバーターやインバーターといった電動化部品の生産拠点である豊田自動織機の安城工場(愛知県安城市)が開発、採用した。プラスとマイナス、それぞれのイオンを発生して静電気を除電する2本1対の棒状のイオン発生装置を使い、システムを構築した。人が組み立て作業を行う全工程に設置した。投資額は2000万円。
電子機器の組み立て時に静電気があると製品不具合につながる。これまでは24時間、365日空調を運転し、ボイラによる蒸気で湿度を管理し、静電気の発生を抑えていた。ただ制電が必要な作業工程の容積は工場全体の1%未満で、エネルギー利用のムダが生じていた。
電子機器を手がける安城工場では自動車の電動化加速に伴う生産量拡大が見込まれ、エネルギー利用量やCO2の削減対策で大きな効果が期待できる。全社で2030年にCO2排出量半減と、50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)達成の目標を掲げる中、ムダの削減に取り組んだ。
新システムを採用することで、静電気抑制に蒸気ボイラは不要になり、静電気対策に使うLNGはゼロになる。事業所全体で年6・7%のCO2排出削減につながる。すでに社内や生産委託先と同システムについて情報共有を始めた。CO2排出ゼロの目標に向けて、他の生産拠点などにも同システムを横展開したい考えだ。
日刊工業新聞 2023年01月31日