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“半導体・物流混乱”供給リスク抑制へ、車部品メーカーが在庫積み増し

“半導体・物流混乱”供給リスク抑制へ、車部品メーカーが在庫積み増し

半導体などの不足が続く中、トヨタ自動車は23年3月期に920万台を生産する計画だ(高岡工場=愛知県豊田市)

愛知県の自動車部品メーカー各社が、在庫積み増しを強化している。日本特殊陶業は2019年3月期末に約4・5カ月分だった在庫水準を、足元では約6カ月分に増やした。デンソーアイシンなど他のメーカーも、原材料や製品といった棚卸資産の増加を継続している。半導体不足や物流の混乱などによる供給リスクを防ぐ狙いだ。供給網の混乱は24年3月期も完全には解消されないとみられ、各社は供給安定性を高める。

日本特殊陶業は22年4―9月期末の棚卸資産が、前期末比24%増の1940億円となった。円安の影響で海外に置く在庫の評価額が高まっているが、磯部謙二上席執行役員は「その影響を除いても在庫が増えているのは事実」と説明する。

コロナ禍をきっかけに港湾での荷揚げ作業が滞るなど国際物流の遅延が常態化。調達では、ウクライナ情勢や米中対立などの地政学リスクが懸念される。加えて稼ぎ頭であるエンジン点火プラグに使うイリジウムなどのレアアース(希土類)は、産出国が偏る。「市場環境が変化したことで、在庫の考え方を変えざるを得ない」(磯部上席執行役員)という。

在庫を積み増す動きは22年3月期から顕著になっているが、各社の棚卸資産は今も増加傾向にある。目立つのがトヨタ自動車系部品メーカーだ。22年4―9月期では、デンソーが前期末比11%増の1兆1455億円、アイシンは同11・5%増の6345億円、豊田自動織機は同24・3%増の5393億円だった。コロナ禍に見舞われた初年度に当たる21年3月期から見れば、それぞれ6―8割増の水準だ。

例えば半導体ではリスク度合いに応じ、従来の3カ月程度から4―6カ月に在庫水準を引き上げている。またトヨタは22年10月―23年3月にかけて生産水準を引き上げる方針を示しており、これに備える狙いもあるとみられる。

このほか住友理工は前期末比7・6%増の872億円、ホンダ系の武蔵精密工業は同10・3%増の517億円に増やしている。棚卸資産の増加は各社の利益を圧迫する要因だが、一定の在庫を抱えても供給力を維持する方針だ。

日刊工業新聞 2022年12月13日

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