採算悪化に苦しむJMU、次期社長が示した意義込み
ジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市西区)の社長に4月1日付で就任する灘信之氏(66、スチールプランテック社長)は26日、横浜市内で会見し「造船業は産業立国の一翼を担っている。JMUだけでなく、日本の造船業がどう復活、再建するか考えるのが我々の使命だ」と意気込みを示した。
JMUは鋼材高騰の影響などで2022年4―9月期の当期損益が118億円の赤字になるなど採算悪化に苦しむ。
千葉光太郎社長(65)は「造船業は世の中の変動に左右されやすい。これまでの造船の常識で対応するだけでは、限界がある」と外部からトップを招聘(しょうへい)した理由を述べた。
灘氏は旧日本鋼管(現JFEスチール)出身で、17年からスチールプランテック社長を務める。会見では業績改善に向けて「どういう問題があり、どうすれば良いかはわかっていない。現場を見て判断する」との考えを示した。
千葉社長は18年に就任し、国内造船最大手の今治造船(愛媛県今治市)との資本業務提携を実現。21年には両社の商船営業・設計の共同出資会社日本シップヤード(東京都千代田区)を発足させた。
舞鶴事業所(京都府舞鶴市)での商船建造から撤退するなど構造改革を進めたが、業績は厳しい。千葉社長は「その時々のマーケットを見据え、事業所の運営をどうするか、いままでと変わらずやっている。現時点でどこをどうするか、全く考えていない」と述べるにとどめた。
日刊工業新聞 2023年01月27日