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コスト上昇分の価格転嫁をしたいけど…。「転嫁率」は低水準のまま

帝国データバンク(TDB)がまとめた、価格転嫁に関する実態調査によると、自社の主な商品・サービスにおける、コスト上昇分の販売価格・サービス料金への転嫁について、約7割の企業で多少なりとも価格転嫁できていることが分かった。その一方で価格転嫁率は約4割にとどまっていることも明らかになった。

コスト上昇分を販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているかを尋ねたところ、「多少なりとも価格転嫁できている」企業は69・2%。「全く価格転嫁できていない」企業は15・9%だった。

価格転嫁したいと考える企業の販売価格への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は39・9%と4割を下回った。「コストが100円上昇した場合に、39・9円しか販売価格に反映できていないことを示している」(TDB)。

価格転嫁率を業種別に見ると、価格転嫁率が比較的高い業種は「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売り」(66・0%)や、「化学品卸売り」「紙類・文具・書籍卸売り」(ともに62・8%)で6割を超えた。「今や物価高が当たり前のような状況になっているので、価格転嫁についても取引先からの了解は得やすくなっている」(電気機械器具卸売り、茨城県)などの声が企業から上がっているという。

調査は2022年12月16日から23年1月5日にかけて実施。有効回答企業数は1万1680社。

日刊工業新聞 2023年1月26日

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