来年2月にラッシュ再び…食品値上げが止まらない
食品業界では2022年も値上げが相次いだ。21年から続く穀物価格の高止まりに加え、石油などエネルギーの高騰、円安が輸入品価格の高騰に拍車をかけた。帝国データバンクによると、22年に値上げした品目は11月30日時点で2万822品目に及び、平均値上げ率は約14%。23年もすでに5000品目程度の値上げが公表されており、「値上げラッシュ」がとどまる気配はない。
食品の分野別では値上げの品目数が最も多かったのが、加工食品で8536品目となった。冷凍食品や水産缶詰などで、食肉や水産品などの価格高騰と円安の影響を受けた。値上げ率も16%と最も高かった。冷凍食品はマルハニチロや日本水産が23年2月の値上げをすでに公表している。現状で23年2月は値上げが集中するとみられており、最も多かった10月の6700品目に迫るとみられている。
農林水産省は9月に食品価格高騰の主因となっている小麦の緊急措置として、10月期の輸入小麦の政府売渡価格を4月期の1トン当たり7万2530円に据え置いた。輸入小麦の政府売り渡し価格は、6カ月間の平均買い付け価格で算定しており、従来通り算定すると10月期は1トン当たり8万6850円と19・7%の引き上げになることから、これを回避するため算定期間を1年に延長し、平準化した。小麦の国際相場は3月にロシアによるウクライナ侵攻を受けて急騰したが、6月以降は下落し、足元も侵攻前の水準で推移している。この水準が続けば、23年4月期は大幅な値上げは避けられそうだ。
足元では為替や原油、穀物などの国際相場が落ち着きを見せている。だが、味の素の藤江太郎社長は「コスト上昇は企業努力の範囲を超えていて、22年度中に全てを値上げでカバーできる状況にはない」と話す。値上げは小売りや消費者の抵抗感が強く、メーカーにとって、コスト上昇分の価格転嫁を十分にできていないのが現状だ。