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建材価格高騰に苦しむゼネコン、採算悪化の苦境はいつまで続くか

建材価格高騰に苦しむゼネコン、採算悪化の苦境はいつまで続くか

都市の再開発で手持ち工事は多いが、採算の悪化が懸念される(東京・虎ノ門)

ゼネコン各社にとって、2022年は建設資材の価格高騰に苦しんだ1年となった。建設投資の回復を受け、生産・研究開発拠点や都市部の再開発プロジェクト、大型の土木工事など手持ち案件は少なくない。ただ主要建材の価格が上昇したことで、採算悪化に陥るところが相次いだ。発注者との価格転嫁交渉は長引く見通しで、苦境が続きそうだ。

H形鋼や鉄筋、生コンといった資材価格の高騰が、ゼネコン各社の利益を圧迫した。日本建設業連合会によると、資材価格は9月時点で21年1月に比べ平均23%上昇。建築は同26%、土木も同18%上がった。材料費の割合を50―60%とすると、労務費や仮設費、経費などを含む建設コストはこの20カ月で平均12―14%上昇した計算になるという。

日建連はこうした資材価格の高騰を受け、発注者に契約価格や工期への適正な反映を要望している。ただ、物価変動に合わせて請負価格を上下させる「スライド条項」が盛り込まれた公共工事への反映は順調だ。焦点は、こうした条項がない民間の建築工事だ。ゼネコン大手の幹部は「事業収益に直結するような案件ではなかなか難しい」と明かす。

とはいえ「まったくの門前払いというこはなくなった」(ゼネコン幹部)。濃淡はあるにしても、増加したコストの一部負担やVE(バリューエンジニアリング)提案を受け入れる発注者も増えているようだ。民間の発注者として目立ちがちな不動産大手も「価格見直しの申し出をいただいた場合には、適宜協議して対応している」と強調する。

それでも、ゼネコン各社の負担はなお重いのが実情だ。日建連の宮本洋一会長はかねて「お互いにウィンウィンの関係を築けるようにしたい」と訴えてきた。不動産各社も「建設コストの上昇が続くと、プロジェクトにも影響する。ひとごとではない」と危機感は強い。想定外のリスクをどう負担するか、建設業界は長期的な視点で模索していく。

日刊工業新聞 2022年12月14日

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