窒化アルミ活用の放熱部材、U―MAPが電子デバイス向け量産
U-MAP(名古屋市千種区、西谷健治社長)は、放熱性が高い窒化アルミニウム(AlN)を使う電子デバイス用の放熱部材を2024年後半から量産する。電気自動車(EV)や産業用レーザーの基板として年間約4000平方メートル分の供給を計画。同社が強みとする繊維状のAlNを使った基板は、競合のパウダー状AlNと比べて約2倍の強度を持つ。市場価格の1平方メートル当たり16円に近い価格での提供を目指す考えだ。
電子デバイスで使うセラミックス基板(写真右)として提供する。AlNを使った基板は高い放熱性を持つため、蓄熱による性能低下を抑制できる強みがある。だが窒化ケイ素製と比べると破壊じん性値は約半分と耐久力に弱点を持ち、基板小型化の課題だった。
今回、繊維状のAlNを作る技術を生かし、放熱性と耐久性を兼ね備えた基板を開発。破壊じん性値は窒化ケイ素と同等を達成した。「放熱性能を維持しながら、部品の小型化を進められる」(西谷社長)という。
まずは光ファイバー通信用や産業用レーザー部品など製品ライフサイクルが早い分野で国内向けに販売し、早ければ27年にEVのインバーター・コンバーター(電力変換装置)向けの供給を見込む。
生産体制を構築するため約7億円の資金を調達した。繊維状AlNに含まれた不純物を取り除く装置などを愛知県瀬戸市の自社工場に設置する計画。セラミックス基板の生産では岡本硝子と協業し、生産を委託する。
U-MAPは16年設立の名古屋大学発ベンチャー。ガス状態から固体を取り出す気相成長法を使った繊維状AlN製造技術に強みを持つ。
日刊工業新聞2023年1月23日