ホンダがJAXAから受託、月面探査車居住空間に電力供給するシステムの仕組み
ホンダは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、月面探査車両内で人が生活するための電力を供給する「循環型再生エネルギーシステム」について研究開発契約を結んだ。ホンダ独自の水素技術を組み合わせ、太陽エネルギーと水から、酸素・水素・電気を継続的に製造するシステムを想定。JAXAからの委託を受けて概念検討を行い、2023年度末までに地上環境で作動する初期段階の試作機モデルを製作する。
長期の月面探査では探査車両内で人が生活するための電力が必要となる。
燃料電池自動車(FCV)や水素ステーションに使われている「高圧水電解システム」や「燃料電池システム」を組み合わせる。蓄電池より小型で軽量なエネルギーシステムを実現する。積載容量・質量の低減にもつなげる。
具体的には、昼間に太陽光発電で発電した電気を使って高圧水電解システムで水を電気分解し、酸素と水素を製造してタンクに貯蔵。夜はその酸素と水素で発電し、居住スペースに電力を供給することを想定する。
同システムは電気だけでなく酸素と水素を作ることができるため、酸素は有人拠点で活動する人の呼吸用に、水素は月面を離発着する輸送機の燃料としての活用も視野に入れる。
ホンダは20年11月にJAXAと同システムの共同研究協定を締結した。今回の研究開発契約でJAXAから委託を受け開発を進める。23年度末までに地上で作動できる試作機を製作し、それ以降に宇宙での活用に向けた課題に取り組む。
日刊工業新聞 2023年01月20日