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資本関係どうなる、佳境迎えた日産・ルノー協議の焦点

資本関係どうなる、佳境迎えた日産・ルノー協議の焦点

資本関係見直し、ルノー保有株売却など議論

日産自動車と仏ルノーが進める資本関係の見直し協議が佳境を迎えている。両社は共同保有する電気自動車(EV)の知的財産の扱いなどをめぐり交渉を継続している。日産は16日に開いた会議でルノーとの協議の状況を説明し、交渉を続けることで社外取締役らの了承を得た。1月下旬にも合意を目指すとされるが、来週の両社首脳による定例会合で、歩み寄りが見られるのかが焦点となる。(西沢亮)

「16日にこれまでの交渉状況に関する説明があったが、現状説明以上のものはなかった」。日産のある幹部は会議をこう振り返る。

三菱自動車を含めた連合(アライアンス)は来週、国内で定例の幹部会合を予定。ルノーの首脳らが来日する見込みで、懸案となっている知財をめぐり「ルノーが柔軟な姿勢を示せば交渉がまとまる可能性もあるが、交渉の行方は分からない」(同幹部)とした。

両社はルノーの日産への出資比率を43%から15%に引き下げ、日産のルノーへの出資比率と対等にする案を軸に協議を進めている。併せてルノーが新設するEVの新会社に日産が出資することなども交渉している。

関係者によるとこれまでの交渉では、資本関係の見直しでルノーが手放す28%分の日産株を信託に移し、段階的に売却する方法などが議論されているという。一方、EVなどの共同知財では、日産が第三者への提供をめぐり技術流出を懸念。ルノーが2022年11月に発表したEVや内燃機関事業の分社化で、米クアルコムや中国の浙江吉利控股集団などとの協業が明らかになり、日産との知財に関する交渉を複雑にする一因となっていた。

両社の交渉が長引く中、海外通信社は協議の大きな障害となっている知財の解決に向け、ルノーが大幅な見直し案を提示したと報道。また別の海外メディアはルノーの筆頭株主であるフランス政府が1月上旬、日産株の出資比率引き下げに反対しない意向を日本政府へ示したと報じた。日産幹部は16日の会議で「ルノーが譲歩する姿勢を示しているとの説明はなかった」としている。

両社の関係は99年、ルノーが経営危機に陥った日産に約37%を出資し、救済したことから始まった。当初から互いの自主性を重んじ、事業上は対等な関係を築いてきた。ただ、両社のトップを兼務したカルロス・ゴーン被告が逮捕された後の19年前後、仏政府の意向を受けたルノーが日産に経営統合を打診。強引な手法に日産は猛反発し、統合案が白紙に戻った経緯がある。

一方、新型コロナウイルスの感染拡大、車の電動化の加速など事業環境が大きく変化。米国ではEVの優遇策を受けるため北米での車両生産を求める法律が成立するなど、事業やサプライチェーン(供給網)を分断する動きも進む。電動化のスピードや規制が地域で異なる中、各社が地域ごとに事業を展開する連合にとっても個社の経営判断の重要性が高まっている。


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日刊工業新聞 2023年01月18日

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