発生1週間以内の巨大地震誘発率は最大3600倍、東北大などが解析した南海トラフ地震の影響
東北大学災害科学国際研究所の福島洋准教授らは京都大学、東京大学と共同で、南海トラフ巨大地震発生後、1週間以内に別の巨大地震が起こる確率は約2―77%で、平時の100倍から最大3600倍まで高まることを示した。特に巨大地震直後に連続発生する確率が高く、注意が求められる。世界の地震統計データや過去の南海トラフ地震発生履歴から算出した。南海トラフ地域は世界の他地域と比べ、巨大地震の連続発生確率が大きい可能性がある。
過去100年超の世界各地の地震統計データから、マグニチュード(M)8以上の巨大地震が3年以内に連続発生する確率を計算した結果、5―18%だった。
これに対し、1361年以降の6回の南海トラフ地震履歴からこの地域での同確率を求めると、4・3―96%と高かった。
これらを組み合わせて経過時間ごとの巨大地震連続発生確率を求めると、1日以内に最大64%、1週間以内では同77%となった。先発の巨大地震発生後は後発地震の発生確率が一時的に急上昇する可能性がある。
一方で、標本数の少なさから不確実性の高さも示された。福島准教授は、「先発巨大地震が起こった時点ですぐに後発巨大地震を念頭においた対応が必要。後発地震を考慮して事前準備してほしい」と話した。
気象庁は、同地域で地震が普段より発生しやすい状況になったと評価された場合に「南海トラフ地震臨時情報」を発表する。これまで根拠となる数字などは出ていなかったが、今回の研究成果で定量的に裏付けられた。
日刊工業新聞 2023年01月11日