南海トラフ巨大地震、「もしも」の時に高速道路はどうなる?
東名高速道路など中日本地域の高速道路や自動車専用道路を管轄する中日本高速道路(NEXCO中日本)。同地域で懸念される大規模災害に南海トラフ巨大地震がある。政府の被害想定によると最悪の場合、死者32万人、経済被害額は約220兆円と甚大な被害が予想される。
NEXCO中日本管内に目を向けると、約80%程度の区間で通行止めなどの影響を受けるとの想定がある。
また大地震発生で高速道路の落橋や路面に大きな段差が発生すると、救助や復旧の輸送に支障をきたす事態が長期化する。このため災害発生時には、利用者や応援部隊の移動手段や宿泊先を速やかに確保することが急務だ。
NEXCO中日本はこのほど、近畿日本ツーリスト中部(名古屋市中村区)と災害時における宿泊施設などの確保に関する連携協定を結んだ。地震や大雨、大雪など自然災害が発生し高速道路が被災した場合、道路の利用者や現地に派遣する復旧部隊の移動手段や宿泊先の必要数を迅速に確保しなければならない。
吉村義朗NEXCO中日本執行役員保全企画本部副本部長兼社長COO付防災担当部長は「災害発生時は宿泊施設も被災している可能性がある。施設と個々に交渉するのでは、必要数を確保するのが難しい局面も出てくる」と旅行代理店と連携した背景を説明する。
一方、国土交通省は、災害発生時に特に重要な緊急輸送道路上の橋について、今後30年間で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が26%以上の地域では2021年度中、全国でも26年度までの耐震補強対策の完了を目標に定める。
これに先行してNEXCO中日本は路面下の耐震化を進める。南海トラフ地震の発生想定地域を含む同社管内は、20年3月時点の耐震補強進捗(しんちょく)率が91%と、全国平均の75%を上回っている。
いつ起きてもおかしくはない自然災害に対し万全の体制を整える。