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原子力機構がシリコン酸化膜の成長メカニズム解明
日本原子力研究開発機構の吉越章隆研究主幹らは、半導体産業を支えるシリコンの酸化膜が成長する機構を明らかにした。大型放射光施設「スプリングエイト(SPring―8)」の高輝度放射光を使い、リアルタイムに反応を追跡した。酸化膜とシリコン基板の界面にある欠陥で酸素分子が反応する時に、電気の伝導に寄与する電子や正孔などが関与することが分かった。半導体デバイスの省電力化や小型化、信頼性向上につながる。
東北大学と福井工業高等専門学校などとの共同研究。成果は、物理化学系の米科学誌電子版に掲載された。実用化に向け、企業と共同研究したい考え。
高輝度放射光でリアルタイム追跡
これまでに酸化膜とシリコン基板の界面にある欠陥で酸素分子が反応することを解明した。詳細な反応機構を調べるために放射光を使ってリアルタイムで測定すると、欠陥に電子や正孔などが結び付いて化学反応しやすい状態となることが分かった。反応しやすい欠陥が生じることで酸素が分子のまま吸着し、酸素原子に解離してシリコン―酸素―シリコン結合を形成することを見いだした。
半導体デバイスの作製には酸化反応を制御し、欠陥の少ない良質なシリコン酸化膜を作る必要がある。だがナノレベル(ナノは10億分の1)の薄膜領域でのシリコン酸化反応の機構は、あまり解明されていなかった。
日刊工業新聞 2022年12月21日
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原子力といえば原子力発電がイメージされますが、燃料電池や自動車エンジンの開発にも貢献する基幹技術です。イノベーション創出に向け、「原子力×異分野」の知の融合を推進する原子力機構の『価値』を紹介します