エネルギー価格高騰の2022年、“電力難民”で異常事態も
2022年はロシア・ウクライナ情勢や超円安の影響を受けエネルギー価格が高騰した。電気料金は価格改定に国の認可が必要な家庭用低圧の規制料金で、大手10社すべてが燃料費調整制度で燃料価格の上昇分を電気料金に転嫁できる上限を10月に超えた。超過分はすべて電力会社が負担するため、発電コストが料金収入を上回る逆ザヤ状態となり電力会社の経営を圧迫、22年4―9月期の連結決算では9社の当期損益が赤字となった。このため東北、北陸、中国、四国、沖縄の5電力は経済産業省に23年4月からの値上げを申請し、審査が始まった。東京電力ホールディングスも年内に申請する予定。電力自由化で任意に料金設定できる特別高圧、高圧と低圧の自由料金プランでは、すでに大半が値上げをしている。
新電力も追い込まれている。自社で発電設備を持たず電力市場(JPEX)から調達し再販する小売事業者は特に厳しい。帝国データバンクによると11月までに706社のうち2割強の146社が倒産や電力事業撤退を余儀なくされた。その結果、4万5866件が“電力難民”となり、一般送配電事業者の最終保障供給を受ける異常事態となっている。
都市ガスも値上げが続く。東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスの大手4社は12月も液化天然ガスなど原料の上昇分をガス料金に反映させる原料費調整制度(原調)に基づき値上げした。原調の上限を7月に突破した東京ガスが23年3月まで段階的に上限を引き上げるなど値上がりは続く。こうした事態に国は23年1月から9月まで電気料金の低圧と高圧、都市ガス料金について一部補助する。
ガソリンは一足早く補助した。国は原油高騰の激変緩和措置として、22年1月からガソリン1リットル当たり5円の補助金を出している。当初は4月までの予定だったが、その後も高騰が続くため補助額を35円まで段階的に引き上げ、期間も23年9月まで延長する。