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相次ぐ値上げが生活直撃、「景況感」の悪化が止まらない

相次ぐ値上げが生活直撃、「景況感」の悪化が止まらない

商品など相次ぐ値上げが国民生活を直撃している(イメージ)

国内の景況感悪化が続いている。日本生産性本部がまとめた「働く人の意識調査」によると、足元の景気について「悪い」「やや悪い」の回答が全体の71・1%と前回同様に7割を超えた。原材料高・エネルギー価格高騰に加えて、為替の歴史的な円安進行による商品・サービスの相次ぐ値上げが国民生活を直撃している。一方で、2年以上続いた新型コロナウイルス感染症への不安がさらに薄れている現状も明らかになった。

日本生産性本部が10月28日に発表した第11回「働く人の意識調査」では、今後の日本の景気見通しについて「悪くなる」「やや悪くなる」との回答が合計で2022年7月調査比4・4ポイント改善の48・0だった。ただ、「どちらとも言えない」との回答が同3・1ポイント増の39・6%と高まり、雇用者間で漠然とした将来への不安感が広がっている可能性がある。今後の自身の収入に不安を感じるかとの問いに対して、「かなり不安を感じる」との回答は同0・4ポイント増の21・8%と増加傾向にある。

新型コロナ関連では、自らがコロナに感染する不安について「かなり不安を感じている」の回答が同1・1ポイント減の13・8%と過去最少を更新し、ワクチン接種の普及などにより社会全体で感染症と共生する“ウィズコロナ”への移行が進んでいるようだ。

コロナ禍で浸透したテレワークだったが、その実施率は過去最低だった前回から1・0ポイント増えたものの、17・2%と引き続き低水準で推移している。「これまでテレワークをけん引してきた中・大企業の実施率をみると、4月調査以前よりも低く、テレワーク退潮の動きから反転したとまではいえない」と今回のリポートで分析した。

岸田文雄政権は円安や物価高、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への対応で批判が強まっている。政府(国)への信頼性について、「大いに信頼している」「まずまず信頼している」の回答は同0・9ポイント減の26・5%と低下傾向が続く。22年1月調査が過去最高の33・1%だったことから、この1年で人心が離反しており、政権の苦悩を表している。

今回の調査は日本企業・団体に雇用されている20歳以上の1100人を対象にインターネット経由で実施した。調査期間は22年10月11―12日。「過去最多の新規感染者数を記録した第7波後の初の調査となったが、全体を通して、第7波の影響と思われるような劇的な変化は見られなかった」と結論づけた。

日刊工業新聞 2022年11月04日

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