オイルシール手がける自動車部品メーカーが開発加速、EV需要取り込む新技術
オイルシールなど自動車部品を手がけるNOKは、世界的な脱炭素化の流れを受けて拡大する次世代自動車の需要増に対応し、新製品・新技術の開発を加速している。低摩擦を実現した高機能のシール製品のほか、難燃性ゴムなど新たなニーズを見据えた材料も訴求する。また、製品の生産工程にかかる環境負荷の低減にも取り組む。
電気自動車(EV)に求められる低電費や熱対策、腐食対策などに寄与する技術を幅広く提供する。「レミューズ」はシール性を維持しながらモーターなどの摩擦損失を低減する高機能シールブランド。形状設計や材料設計、低摩擦コーティングなどの技術を組み合わせ、従来のオイルシールやOリングより摺動抵抗を減らす。EVの低電費だけでなくガソリン車の燃費向上にも貢献する。
EVでは車体の軽量化の流れからアルミニウムの需要が増えている。「ラステクター」は塩害により腐食しやすいアルミ筐体向けに、耐塩水腐食機能を付加したシール。独自の断面形状が高密封性を発揮し、腐食の進行を遅らせる。バッテリーや周辺部品の熱対策向けには高い難燃性エチレン・プロピレンゴム(EPDM)材料を開発し、Oリングやガスケットなどへの応用を見込み、提案を開始している。
LCA(ライフサイクルアセスメント)の観点から、開発や生産での環境負荷低減に向けてESG委員会を中心に進めている。
取り組み例としてはゴムを加熱して弾性を付ける「加硫」の作業において、材料の投入時や加硫時、取り出し時など各工程ごとの熱の状態を解析。温度低下の原因を探り、加熱を少なくすることでヒーター負荷を軽減し、省エネにつなげている。
また二酸化炭素(CO2)排出量削減に資するバイオマス材料も開発。実用化に向けては強度や耐久性などがネックとなるが、バイオマス度30%のEPDM材では従来材に劣らない性能を発揮した。配合を調整することで環境対応との両立を実現する。
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