今さら聞けない…VRとメタバースの違いとは?
技術応用が日々拡大しているVRの中で、大きなトピックになっている「メタバース」。メタバースの波にいま乗れるかどうかで、企業のビジネスは大きく変わることが予想され、主導権争いは激化しています。
また、個人でも参加できるVR空間が増加している中で、NFT(偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ)市場の規模拡大や、アバタ中傷が名誉棄損として認められるなど、VRを取り巻く社会環境も変化しています。
話題になりやすいメタバースについて、書籍『トコトンやさしいVRの本 第2版』から一部抜粋し掲載します。
VRは「図」の技術、メタバースは「地」の技術
最近、「メタバース」という言葉が注目を集めています。メタバースとは「電子的に実現された私達の活動空間」とでもいえばよいでしょう。VRの観点からは、ネットワーク上に展開したVRです。多くのユーザーが同時に体験可能であり、相互にコミュニケーションできるという点が、従来のVRとの違いです(図1)。ネットワーク上のゲームから発展してきた多人数参加型のVRを「ソーシャルVR」と呼びますが、それが一般生活空間へと進化したものがメタバースです。
心理学で重要な概念に「図」と「地」があります。図2の白い部分に注目すると果物を載せる台のようなものが、黒い部分に注目すると向かい合う顔に見えます。視界に2つの領域がある時、物の形として認識されるのが「図」で、「地」は背景です。ほとんどの場合、図と地の関係は自明で、迷うことはありません。
しかし、その技術が成長し生活全体を覆うようになると、それは図から地になり、違った風景が見えてくるでしょう。VRは図の技術、メタバースは地の技術ということができるのです。
実はメタバースのブームは今回で2度目です。このブームは新型コロナ禍による社会のあり方や価値観の大転換と関係があります。このニューノーマルへの社会変化を背景として、VRも大きく変化しなければなりません。その進化の先がメタバースというように捉えています。
●メタバースは多人数での同時体験とコミュニケーションが可能
●一般空間生活へと広がりを見せる
(「トコトンやさしいVRの本 第2版」p.22-23より抜粋)
<販売サイト>
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<書籍紹介>
書名:今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいVRの本 第2版
著者名:廣瀬通孝 監修、東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター 編著
判型:A5判
総頁数:160頁
税込み価格:1,760円
<目次>
第1章 VRって何だろう
第2章 VRと五感の科学
第3章 VRが可能にする新しいインタラクション
第4章 時間と空間を超える
第5章 VRの周辺技術
第6章 VRの可能性
第7章 メタバースという世界