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「メタバース」「デジタルツイン」「ウェブ3.0」…サイバー空間関連キーワードたちの現在地

「メタバース」「デジタルツイン」「ウェブ3.0」…サイバー空間関連キーワードたちの現在地

メタバースと呼ばれる仮想空間の活用が模索されている(米メタ提供)

2022年は、サイバー空間と現実世界との融合・相互作用が大きく進んだ1年だった。中でも「メタバース」と呼ぶ、インターネット上における3次元(3D)の仮想空間がITのメガトレンドとして一躍脚光を浴びた。

メタバースではアバター(分身)を操り、その目線でサイバー空間に入り込んで仮想現実(VR)を体感しながら他の人たちと交流する。こうした機能はオンラインゲームにとどまらず、ビジネスの世界へと広がってきた。メタバースをサイバー空間のみで完結させず、離れた場所にいる移動ロボットを操るなど、現実世界と融合した取り組みが進んでいる。

デジタルツイン」や「サイバー・フィジカル・システム(CPS)」もまた然(しか)り。サイバー空間上に現実の工場を再現し、生産ラインのシミュレーションを行う取り組みなどは数年前までは概念でしかなかったが、いまや至るところで実証が行われつつある。

一方、トレンドとして急浮上するのが「ウェブ3・0」と呼ぶ、次世代インターネット技術。岸田文雄政権が推進する「デジタル田園都市国家構想」でもキーワードとして取り沙汰されている。

ウェブ3・0関連で今後注目されるのは「DAO(ダオ=分散型自律組織)」。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いて、特定の所有者や管理者が存在せずに事業やプロジェクトを推進する組織を指す。その先には、人が所有するモノやスキルなどを必要に応じて共有し合うシェアリングエコノミーが垣間見える。

ブロックチェーンといえば暗号資産(仮想通貨)やNFT(非代替性トークン)の台頭も目覚ましいが、現時点では“虚”と“実”が混在する。暗号資産交換業者大手である米FTXトレーディングの破綻によって、サイバー空間の危うさが露呈した格好だ。仮想空間と現実世界との融合は一筋縄では行かず、23年も旬のテーマとなりそうだ。

日刊工業新聞 2022年12月07日

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