サンワテクノスが最重要経営指標を営業利益に変えた背景事情
サンワテクノスは、2024年度に営業利益70億円、営業利益率3・6%を目指す中期経営計画を今年度に始めた。安定的な配当のために自己株式の取得も手段の一つとして取り組む。製品販売だけでなく課題解決策の提案も同時に行うことを重視し、付加価値の向上を目指す。
同社は従来、売上高を最重要経営指標としていたが、22年度からの中計では営業利益に変更した。宮崎一彦執行役員経営戦略室長は、「顧客の課題解決のために何ができるか、ソリューションの提案が不可欠になった」と話す。
解決策の提案は顧客にとって付加価値となる。「こうした付加価値は、粗利益や営業利益に現れる」(宮崎氏)という。自己資本利益率(ROE)を社員に提示した時期もあったというが、ROEが全社的な数値目標だったほか、支店など各現場が数値管理をしているため「現場になかなか定着しなかった」(同)と振り返る。
少子高齢化や地政学リスクといった社会課題は、同社にとってビジネスチャンスともいえる。人手不足や生産拠点の国内回帰、事業継続計画(BCP)の視点での生産拠点の見直しを受けて、自動化の需要が一段と見込まれるためだ。
そこで、市場規模や成長率などと、同社の強みを掛け合わせて人やモノ、カネといったリソースを投入する顧客の領域を定めた。具体的には半導体製造装置やロボットマウンター、工作機械に携わる顧客が該当する。
ほかにも設備、車載そして工場自動化(FA)装置を製造する顧客には、それぞれ脱炭素、電気自動車(EV)化、デジタル変革(DX)の面から提案をしていく。例えば脱炭素では、発光ダイオード(LED)照明の提案とともに配置方法の助言が考えられる。
他方、足元では同社を含め仕入れ先や顧客の在庫増を懸念。27年度には営業利益100億円を目指しており、「顧客を課題解決に導くための品ぞろえや提案の豊富さが必要になる」(宮崎氏)とする。