サンワテクノス流で「社員と企業の相互理解」進めます!
サンワテクノスは2021年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画で、四つの方針の一つに「持続可能な社会の実現への取り組み」を掲げた。この方針に対する重点施策の一つとして「社員エンゲージメント(社員と企業の相互理解)を向上し、働きがいある企業風土」の構築を目指している。(山谷逸平)
対社内と対社外の2方向で働き方改革を進めている。
対社内向けでは「健康経営」を重視。健康経営は企業が従業員の健康に配慮することで、経営面でも生産性や収益性の向上につながるという考え方だ。サンワテクノスは社員の健康保持・増進、健康づくりの推進を重要課題として捉えている。
社員の健康への意識改革の取り組みとして始めたのが外部サービスの導入だ。同社はオムロンヘルスケア(京都府向日市)が手がける健康機器で測定した血圧や体重、歩数のデータをスマートフォンで管理するアプリケーション「オムロンコネクト」のサービスを取り入れた。社員の意識向上を狙って平均歩数を競うイベントを19年秋に開催。国内社員の約3分の1に当たる177人が12チームに分かれて参加した。
日ごとに上位チームの所属する個人にポイントを付与し、そのポイントを景品と交換できるようにした。下村高慶人事部長は「参加した社員から、イベント中は歩こうという意識が上がるし、健康意識が高まったとする声が多く聞かれた」と話す。新型コロナウイルス感染拡大で開催が延期されているが、第2回も開催する計画だ。こうした取り組みを通じて、経済産業省の「健康経営優良法人」の認定も目指している。
対社外では社内の約4割を占める女性社員の活躍を引き出すため管理・営業を問わず、やる気のある女性に営業で活躍する機会を与えている。15年4月に女性の活躍推進を含む多様性の確保を目的に「ニューライフプロジェクト」を入社10―20年程度の女性社員約20人で発足した。当初は社会貢献の一環で、商材として取り扱っているオムロンヘルスケアの自動体外式除細動器(AED)の拡販を目的に無料の設置・使用講習会を開催していた。
そこで17年4月にプロジェクトから「エコ・ニューライフサポート部」として発展させ、営業の目標を持たせた。同部では「(顧客の)紹介が多く、基本的に飛び込み営業はさせていない」(的場孝成エコ・ニューライフサポート部長兼総務部長)。AED販売で営業先に訪問した際、その施設の建て替え時期をさりげなく聞き出し、商材の一つである発光ダイオード(LED)照明を提案するなど独自の営業スタイルを築いていったという。
女性活躍の推進は全社的な取り組みに発展し、19年度までにAED設置台数は累計で約900台、講習会の受講者は同約1万人となった。AEDとLED照明を合わせた19年度の受注額は前年度比約87%増の5億7000万円と大幅に増加。的場部長は「これが当社の女性登用の一つのモデルだ」と胸を張る。