直径わずか15μm、曲げに強くコイル巻ける超電導線はどう実現したか
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と物質・材料研究機構、明興双葉(東京都中央区)は、直径15マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の超電導線を開発した。従来の最も細い直径の3分の1以下になった。交流損失を低減でき、柔軟で曲げに強く、コイルを巻ける。超電導線を束ねたフレキシブルな大電流容量ケーブルの開発につなげる。
二ホウ化マグネシウムの超電導体を細線化した。銅ニッケル合金の管にホウ素とマグネシウムの粉末を詰めて650度Cで熱処理すると二ホウ化マグネシウム超電導体を形成する。この熱処理で銅ニッケル合金と反応しないようにニオブを中間に入れ込んだ。
超電導線は中心に直径5・5マイクロメートルの二ホウ化マグネシウム超電導体があり、これをニオブの保護層が包み、外皮の銅ニッケル合金が全体を覆う。全体としては直径15マイクロメートルで、従来の50マイクロメートルから3分の1以下になった。
超電導を発現する臨界温度は34ケルビン(マイナス239度C)と、液体水素で超電導になる。二ホウ化マグネシウムは脆いが、超電導線はしなやかで結び目を作れた。今後、長尺化を進めて多数を束ねて超電導ケーブルを作製する。
日刊工業新聞 2022年12月02日