セメント原材料の脱ロシアを支援、経産省の一手とは?
経済産業省はセメントを生産する事業者などを対象に、ロシア産の原材料の代替調達に伴って必要となる設備投資を支援する。セメントの生産設備の拡充や港湾荷役設備の強化、パラジウムのリサイクル設備の増強などの費用を補助する。ロシアのウクライナ侵攻でロシア産の原材料の供給途絶リスクが高まっていることを踏まえ、関連する国内事業者を資金面で下支えする。
経産省は国内投資の促進にかかわる基金を活用する。2022年度第2次補正予算案に基づき、55億円を基金に積み増す方針。ウクライナ侵攻により安定供給が懸念される石炭と、貴金属のパラジウムの確保に生かす。設備投資などにかかる費用の最大2分の1を補助する予定。
セメントの原料となる石炭は産地によって特徴が異なる。石炭の調達先を変える場合、その特徴に応じて生産設備を見直す必要があることから、基金を通じて設備投資を後押しする。また石炭の代替調達に伴って輸送船の大きさが変わることが想定されるため、港湾のクレーン設備の増強などの費用についても補助する。 一方、パラジウムは触媒や電子機器のメッキに使われており、供給途絶に備えてパラジウムのリサイクル設備の導入費などを補助する。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、全世界のパラジウム生産の約4割をロシアが占めているという。
経産省は石炭やパラジウム、半導体製造用のガスなど6分野について、ロシアやウクライナへの依存度が高いことを踏まえ、安定供給対策を進めている。
日刊工業新聞 2022年11月25日