AI・量子・蓄電池…ディープテック事業促進、経産省が人材育成で一手
経済産業省は2023年度から人工知能(AI)や量子コンピューティング、蓄電池などディープテック分野で活躍できる優秀な人材を発掘・育成する事業を始める。同分野で活躍する起業家ら有識者がプロジェクトマネージャー(PM)として人材の発掘や指導を担うほか、研究や試作開発などを支援する。有力な技術シーズを事業化する力を身に付けてもらい、世界で通用するディープテック系スタートアップの創出につなげる。
新事業はディープテック分野で活躍が期待できる若手人材向けの育成コースと起業を目指す人材を対象にしたコースをそれぞれ設定し、対象となる人材を発掘する。参加者の選抜方法など制度の詳細は今後詰める。
若手向けは高等専門学校生や大学生などの参加を想定。豊富な知見を持つ起業家らがPMとなり、伴走型で指導する。参加者にはPMの指導を受けながら自身の技術やアイデアを形にしてもらう。PMが成果を評価する。
起業志望者向けは経営に必要なスキル・ノウハウを指導するほか、ビジネスプランの作成や研究、試作開発などを支援。両コースともに人脈形成や参加者同士のネットワーク作りも後押しする。
最先端の技術を活用し、社会課題の解決を目指すディープテック系スタートアップへの注目度は高まる。事業化に成功した場合の影響力が大きく、世界有数の企業に成長する可能性がある。大規模な資金調達に成功するスタートアップもある。
日本は大学や研究機関などが最先端の技術開発に成功する一方、社会実装されずに眠った技術は少なくない。世界で戦えるスタートアップを創出する上で有力人材の発掘・育成が課題になっている。
情報処理推進機構(IPA)は00年度から突出したIT人材を発掘・育成する「未踏事業」を開始。プリファード・ネットワークス(東京都千代田区)の西川徹社長やシナモン(同港区)の平野未来社長らを輩出した。