電力損失45%減、三菱電機が直流配電向け変換器を小型化
三菱電機は、750ボルト以下の中低圧直流(DC)配電システム向けに同社従来品よりも電力損失を45%低減でき、変換器盤の体積を20%、質量を36%小型化可能な電力変換器「DCマルチ電圧システム=写真」を開発した。18日から2023年3月まで神奈川県鎌倉市の技術実証施設で同システムを導入した直流配電網を構築し、効果と安定性を実証する。25年以降の製品化を目指す。
炭化ケイ素(SiC)パワー半導体素子を使って電力変換器を低損失化、小型化することで、変換器の盤内に設備ごとに異なる複数の最適電圧を出力できるマルチ電圧給電回路を初めて搭載した。これにより従来の交流(AC)配電システム比で受配電損失を20%低減した。太陽光発電や蓄電池と連携し、停電時に設備の運転を継続する技術も採用した。
直流配電は太陽光など直流の再生可能エネルギーと親和性が高いほか、交流と直流の変換ロスを削減できて変換時の発熱が減らせるなど既存の交流配電より電力変換損失が少ないといった特徴があり、次世代の電力供給システムとして注目されている。
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日刊工業新聞 2022年11月18日