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円安と物価高で企業倒産2桁増、さらに年末へ増勢強める懸念

帝国データバンク(TDB)と東京商工リサーチ(TSR)が9日発表した10月の倒産件数は、TDBが前年同月比16・0%増の594件、TSRが同13・5%増の596件だった。TDBは6カ月連続で、TSRは7カ月連続で前年同月を上回った。原材料費の高騰などで製造業の倒産件数が大幅に増えている。現在の増加ペースだと2022年通年の倒産件数は3年ぶりの増加に転じると見込まれる。

円安の進行や物価高、人手不足が重なり合って倒産件数が増加局面となっている。業種別では製造業がTDBで同37・7%増の73件、TSRが同50・0%増の81件だった。ドライバー不足や燃料価格の高騰が響く運輸業も増加傾向が続く。商品の値上げが相次ぐ中、「(小さな規模の)末端の小売業は苦しい状況だ」(TDB)。

足元の倒産件数はコロナ禍前の月平均600―700件台と比べれば低水準だ。ただ増加基調が鮮明で、TDBによると22年通年の倒産件数は6200―6300件台に到達する見通し。

10月の新型コロナウイルス関連倒産はTSRによると230件で月間最多を更新。「企業倒産は年末に向けて増勢を強めることが懸念される」(TSR)。

日刊工業新聞 2022年11月10日

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