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好調な電子部品の世界出荷額、最大の要因

電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した日本メーカーによる8月の電子部品世界出荷額は、前年同月比9%増の3893億円だった。為替の円安進行を背景に4カ月連続で前年実績を上回った。上海市のロックダウン(都市封鎖)解除を受けて、中国向け需要が回復基調にあることも寄与した。

品目別では、電気を蓄えたり放出したりするコンデンサーが同1%増の1265億円。電気の流れを絞って電流や電圧を調整し、スマートフォンや自動車の電子回路が適正に動くのを助ける抵抗器は同18%増の173億円。スマホ内蔵カメラなどのピント調節に必要なアクチュエーターは同61%増の429億円だった。

最大の要因は為替だ。8月は平均で1ドル=約135円超と、前年の同じ月より23%以上円安が進んだ。ドル建てで取引される電子部品の場合、円安は輸出額を実態以上に押し上げる一因となる。円ベースの輸出額をドルに換算すると、代表品種のコンデンサーで約20%減少した。

米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」新型向けの部品出荷が始まったが、全体を力強く押し上げるまでには至っておらず、パソコン向けも巣ごもり需要の一巡で低調が続く。

一方で中国向けの出荷額は1414億円で7月に続き、前年とほぼ同額を維持した。中華系スマホメーカー向けの受注は回復していないが、上海ロックダウンの影響で低調だった自動車向けは緩やかに回復しているとの指摘もある。


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日刊工業新聞 2022年11月01日

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