年齢・社歴問わず挑戦評価、エア・ウォーターが導入する新人事制度の狙い
エア・ウォーターは年齢やキャリアなどに関わらず社員の役割を決め、役割の大きさに応じ等級を決める人事制度「ミッショングレード制度」を2023年4月から本格導入する。社員自身が会社とすりあわせながら仕事の内容や目標を決め、その達成度に応じた報酬を受け取る仕組みだ。年齢や社歴を問わず社員の挑戦を評価する賃金体系に移行し、若手の抜てきなどを通じ企業の成長を目指す。
制度導入の準備段階として、社員はやりたい仕事や技能、目標などをシートに記入し提出。経営層はシートや社員の実績などを踏まえ、適切な等級を決める。まずは課長以上の管理職に制度を導入し、順次、一般社員にも制度を適用する。
重要ポジションを社内公募し、やる気と実力があれば20代でも管理職への登用が可能だ。一方、挑戦しない社員は等級と報酬が上がらない仕組み。井上喜久栄理事HR戦略室長は「社員の自律的なキャリア形成を促したい」と力を込める。
同社は職務型の等級制度を導入していたが、実際には年功重視の運用傾向だった。井上理事は「かつてのような同質的な昇進の人事制度は限界にきている。若手など優秀な人材を抜てきするには旧制度では機能しない」と制度改革の背景をこう説明する。
人事制度改革はグループ全体への波及効果も見込む。同社はグループの傘下企業273社を抱える。4―7月の人事異動では、M&A(合併・買収)で子会社化した経営トップ5人を本社の事業を担当するユニット長に据え、グループ人材を本社で活用する取り組みを進める。一方、本社での新人事制度の導入は「グループ企業の経営層を任せられる人材を育成する」(井上理事)狙いもある。
グループには各社の事業特性に合わせた人事制度を適用する。一方、グループ全体での人事交流を通じグループでの成果を最大化する。日本型人事制度が転換点を迎える中、人事改革を通じて社員と企業の成長を図る。