脱炭素のジレンマ浮き彫り、企業「マイナス影響」増加
帝国データバンク(TDB)がまとめた、脱炭素社会に向けた企業への影響調査(2022年)によれば、脱炭素社会の進展が自社の事業に「プラスの影響」があるとした企業は前年調査比0・8ポイント減の14・0%だった。電気自動車(EV)の普及が自社の事業に「プラスの影響」があるとした企業も同1・1ポイント減の12・3%だった。調査は21年6月に続き今回が2回目。
脱炭素社会が自社の事業に「マイナスの影響」があるとした企業は同3・4ポイント増の19・5%となり、マイナスの影響がある企業はプラス影響がある企業を5・5ポイント上回った。
プラスの影響があると考える企業を業種別にみると「金融」が23・3%、「農・林・水産」が22・6%、「電気機械製造」が22・3%だった。一方、マイナスの影響ではガソリンスタンドなどを含む「専門商品小売り」が55・8%でトップだった。
次にEVの普及が自社の事業にマイナスの影響があるとした企業は同1・1%減の13・8%だった。
プラスの影響がある企業を業種別にみると「電気機械製造」が29・8%が首位。マイナスの影響がある業種は「専門商品小売り」で50・8%となり、「専門商品小売り」がどちらの質問でもマイナスの影響があることがわかった。
さらにEVの普及による「自動車関連業種」への影響に限定すると、プラスの影響は16・5%にとどまり、マイナスの影響とした企業は46・5%となった。TDBは「電動化による部品の減少や設備投資・技術面での対応について懸念する声が川上産業から川下産業まで数多く上がっている」とした。
調査は7月15―31日に実施。有効回答企業数は1万1503社。
日刊工業新聞2022年10月5日