熱伝導性9倍、パワー半導体需要を狙う「窒化アルミニウムフィラー」の実力
トクヤマが開発
トクヤマは、従来の放熱フィラー(充填剤)に比べて約9倍の熱伝導性を持つ窒化アルミニウムフィラーを開発し、先進技術事業化センター(山口県柳井市)に量産検討設備を新設する。新設備は2023年4月に稼働予定で、順次サンプル出荷を行う。27年までの量産化を目指し、量産開始後は売上高20億円の事業目標を掲げる。
高放熱窒化アルミニウムフィラーは樹脂中の流動性に優れているため、従来の材料と比べてフィラー充填量を増加させることができるという。これにより樹脂の熱伝導率を大きく向上させ、デバイスの負担軽減に寄与する。
パワー半導体や高出力発光ダイオード(LED)用絶縁放熱基板などでの使用を見込む。電子機器の小型化・高密度実装化が進み、電力量を制御するデバイスの発熱量は増加している。デバイスやそれらを搭載した電子機器の性能阻害要因となり、寿命を縮める恐れがあるなど放熱対策が課題になっているという。
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日刊工業新聞2022年9月21日