旧日立系の半導体製造装置メーカー買収、SCREEN社長が「チャンスがあれば検討」
米アプライドマテリアルズ断念で
SCREENホールディングスの広江敏朗社長最高経営責任者(CEO)は日刊工業新聞社の取材に応じ、同社が過去に買収を断念した経緯がある「KOKUSAI ELECTRIC」(東京都千代田区)の買収について「チャンスがあれば検討をしていきたいと思っている」と前向きな意向を示した。3月に米半導体製造装置大手アプライドマテリアルズはKOKUSAIの買収を断念した。代わってSCREENが名乗りを上げる可能性が出てきた。
KOKUSAIをめぐり、2019年7月にアプライドが約22億ドルで買収すると発表、買収期限になっても買収が完了せず延期が続いていた。最終的には買収額を約6割増となる35億ドルまで引き上げていたが、中国の規制当局から承認を得られず破談になった。背景には米中摩擦があると見られる。アプライドによる買収で装置の調達が難しくなることを中国側が懸念した可能性がある。
世界的な半導体不足で半導体製造装置需要は活況を極めている。SCREENは24年3月期までに半導体製造装置事業の売上高で現状比500億円以上増となる2800億円以上を掲げる。バッチ式成膜装置を得意とするKOKUSAIの買収で、SCREENは同事業の機種や客先を補完、拡大できる。
ただKOKUSAIの企業価値が上がり「(経営権を握る)コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)も非常にシビアな企業査定をするのではないか。日本企業同士の組み合わせが市場に受け入れられるかも検証していかなければならない」(広江社長)と慎重な姿勢を崩していない。
【関連記事】 日立が絶対に売却しない子会社とは?
日刊工業新聞2021年4月16日