ドコモ・au・ソフトバンクも…中古スマホ販売参入相次ぐ二つのワケ
携帯通信大手が中古スマートフォン市場に相次いで参入している。NTTドコモが3月に販売を開始。ソフトバンクは従来メーンブランドのみで扱っていたが、4月下旬にサブブランド「ワイモバイル」でも中古スマホの販売を始めた。MMDLabo(東京都港区)が発表した結果調査によると、中古スマホ所有率は11・6%となり2020年比でほぼ倍増した。携帯通信大手の参入により、市場拡大に弾みがつきそうだ。(張谷京子)
携帯通信大手では、楽天モバイルを除くドコモ、ソフトバンク、KDDIの3社が中古スマホの販売を手がける。3社とも、オンライン販売限定で、米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」のみを販売している。
携帯通信大手の参入は、中古スマホ市場の拡大に拍車をかけている。MMDLaboがスマホを所有する1万人を対象に現在利用しているメーン端末の購入・入手方法を聞いたところ、新品スマホの所有率が20年比6・5ポイント減の84・5%だったのに対し、中古スマホ所有率は同5・5ポイント増の11・6%だった。
同調査では中古スマホ所有者500人を対象に購入先のアンケートも実施。中古スマホを購入した店舗・サービスサイトを聞いたところ「キャリアのオンラインサイト(認定リユース品)」が13・6%と最も多かった。
携帯通信大手が中古スマホ市場に参入した背景は、大きく二つの理由が挙げられる。一つは、新品スマホの価格上昇。19年10月の改正電気通信事業法施行に伴い、携帯電話の端末料金と通信料金の完全分離が義務付けられ、端末の値引きが抑制された。この結果、安価な中古スマホのニーズが高まっている格好だ。MMDLaboの調査によると、中古スマホの購入理由として「新品より価格が安いから」が36・2%と最も多く挙がった。
二つ目は、携帯通信会社が自社で販売した端末を他社回線では使えなくする「SIMロック」の原則禁止だ。総務省が21年10月にSIMロックを原則禁止し、中古スマホの買い取りや販売が円滑化した可能性がある。
中古スマホの売買業者も、携帯通信大手参入の動きを歓迎する向きがある。ニューズドテック(東京都千代田区)の粟津浜一社長は「中古スマホは品質、バッテリー、クリーニングなどの面でマイナスのイメージを持たれることが多かった。携帯キャリアの参入によりこうしたイメージを払拭(しょく)できる」と認識。「2次(流通)市場の拡大に弾みがつく」と期待を込める。
一方、携帯通信大手からは中古スマホの販売について「(本格的に参入するかどうか)様子をみている段階」(関係者)という声もある。
中古スマホ市場の拡大が続くかは、通信大手の次の一手に左右されそうだ。