ものたんが聞く、「国葬」って一体何?
【A.全額国費、国の功労者の葬儀】
参院選の遊説中に銃撃され死去した故安倍晋三元首相の「国葬」が9月27日に日本武道館(東京都千代田区)で行われることが決定しています。国葬って一体何だろう。ものたんが聞いたよ。
【Q】国葬って何?
【A】国家に功労のあった人(君主や皇族、王族、政治家、軍人、学者など)の死に際し、国家の儀式として、国費をもって行われる葬儀のことです。国によっては国葬当日に公的な業務を休業することもあります。
【Q】日本では、これまで行われたことはあるのかな?
【A】「国葬令」があった第二次世界大戦前は皇族、朝鮮王族、明治維新の功労者、総理大臣や元帥の経験者などを対象に行われていました。故伊藤博文氏などの葬儀が国葬でした。第二次大戦後、国葬令が失効したことによって規定された国葬はなくなりました。天皇・皇后以外で戦後、国葬が行われた初めての例は、1967年に死去した故吉田茂元首相だけです。故安倍元首相が2例目となります。葬儀委員長は岸田文雄首相が、葬儀副委員長は松野博一内閣官房長官が務める予定になっています。
【Q】「国民葬」とは違うの。
【A】国葬と国民葬の大きな違いは、全額国費によって行われるか、一部国費を用いて行われるかという点です。国葬は、葬儀の全額が国費によって行われます。それ以外、明確な違いはありません。
【Q】なぜ故安倍晋三氏の葬儀は国葬なの。
【A】岸田文雄首相は7月14日の記者会見で、安倍氏の首相在任期間が憲政史上最長となることや、内政・外交の実績、国際社会からの評価などを理由に挙げました。ただ、明確な基準はなく、時の政権の裁量に委ねられているのが実情です。共産党などの一部野党からは国葬という形式に反対する声が上がっています。
日刊工業新聞2022年8月12日