鈴与が16年ぶり人事制度刷新で「地域限定勤務」を導入した狙い
鈴与は2021年9月、16年ぶりに人事制度を刷新した。コース等級、評価、賃金、地域限定勤務の4制度を柱に、全社員を対象にスタートした。物流業界が変革期を迎え、働き方改革は不可欠だ。「働きやすさ」、「働きがい」を実感でき、自ら学び考え、行動する中で、キャリアを形成できる企業風土の醸成を目指す。
刷新について、鈴木一寿常務は「働く選択肢を増やし、合理性、変化対応力を身につけさせるのが狙い」と説明。特に新設した地域勤務制度は物流企業では珍しいという。「良いところは残しつつ地域限定制度を加えた」(大庭千明人事業務部特任部長)。
コース等級では、特定分野の専門的な人材育成を目指し、職種ごとに専任職を新設。各職務に必要な専門性を明確化し、自律的キャリア形成を図る。等級区分を簡素化し、優秀な社員の早期昇格を促進する。
評価は管理職の評価軸とする業績評価とマネジメント評価を一本化。賃金は早期昇格の際にメリットが出る仕組みに改め、昇給・賞与テーブルを見直した。
地域限定は、採用面の強化が狙い。女性社員の活躍を促すなど多様性を推進。育児・介護などで働く場所に制約があっても働きやすく、企業と従業員の信頼関係向上も期待する。
地域限定の勤務形態は、入社6年目以降で「静岡県または1都3県のいずれかを選択してエリア内で転勤あり」、同10年目以降で「静岡県西部、中部、東部または都心部のいずれかを選択して転勤なし」を設定。介護手当など諸手当を拡充した。
今後の課題の一つが在宅勤務。現場に出てこざるを得ない職種もあり、多様性と柔軟性に富んだ制度づくりをすすめたいとしている。
日刊工業新聞2022年6月14日