トヨタが「仕入れ先部品」の価格改定要請を見送る理由
トヨタ自動車は25日、仕入れ先に対する部品の価格改定について、2022年度下期(10月―23年3月)分は要請を見送る方針を固めた。半導体不足などによる減産が続いていることや、資材価格の高騰を受け、仕入れ先の経営環境の安定化が必要だと判断した。また、従来は対象でなかったガスや電力といったエネルギー費用をトヨタが負担することも検討する。サプライチェーン(供給網)全体の対応力強化を図る。
同日、熊倉和生調達本部長がオンライン取材で答えた。トヨタは半期ごとに原価改善活動に伴う部品価格の引き下げを仕入れ先に求めている。22年度は生産の急変動を受け4―6月分は見送り、7―9月は生産回復を見込んで要請を再開した。
だが、8月も年初計画比で約2割の減産を見込むなど、不安定な状況は続いている。資材高騰もあり、下期の要請を見送る。熊倉本部長は「もう一度今の状況を振り返り、サプライチェーンをしっかり守る意味でも傷ついている所を直してもらう」と説明した。
市況変動に応じた通常の材料コストに加え、従来対象でなかったエネルギー費用についても負担を検討する。熊倉本部長は「仕入れ先からの要請も多く、これだけ(エネ価格が)上がっていると見過ごす訳にはいかない」と話した。
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日刊工業新聞2022年7月26日