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トヨタ系部品メーカーが次世代コックピットで訴求する新技術

東海理化が新たな収益モデル構築へ
トヨタ系部品メーカーが次世代コックピットで訴求する新技術

東海理化は次世代コックピットを提案。30年に向けて戦略を加速

自動車のスイッチなどを主力とする東海理化が、新たな収益モデルの構築に乗り出している。電気自動車(EV)向けに新機能を盛り込んだ運転席周りのモックアップ(試作品)「インテリジェントコクピット」を開発。センサー技術などを使ったハンドル周りの新技術を訴求し、需要の減少が見込まれる物理スイッチなど、現行製品の落ち込みを補う考えだ。(名古屋・川口拓洋)

「EVの普及拡大で車の構造が変わる。一つの見方としてスイッチが減っていく」。東海理化執行役員の今枝功旗技術開発センター長は、危機感をあらわにする。スイッチは同社の主力事業の一つで売上高の50%を占めるが「スイッチは(機能を集約した)統合モジュールになるだろう」と予測。自動車1台当たりに使われるスイッチの数は減っていくとみる。

次代の柱に育てるインテリジェントコクピットは少し先の姿を提案する。例えば、人が車に近づくと自動でドアが開く。サンルーフもジェスチャーで開閉し、助手席にあるモノを取りたいときには電灯がともり指先を照らす。地図や機器の操作もディスプレーに集約し、使用したい場合には運転者側に近づく。

左右のミラーはフロントガラス付近に映像として示す。ミラーの角度を変更したい場合もハンドル裏のカメラで認識し、左右どちらを変更するのか感知するといった具合だ。これら機能は27年をターゲットに開発を進める。二之夕裕美社長も「方向性は(人間と機械が情報をやり取りする)HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の強化。今までにない体験を提供したい」と話す。

製品軸では次期重点製品を選定。ハンドル軸部品「ステアリングコラム」やインストルメントパネル(インパネ)周辺のスイッチ、ワイヤを必要とせず電気信号で制御する「シフトバイワイヤ」技術を使ったシフトレバーなどを挙げる。シフトバイワイヤは世界シェア20%を狙い、現在180億円の売上高を25年には300億円程度まで引き上げる。

東海理化は31年3月期に連結売上高6000億円超を目標とする中期経営計画を掲げる。メカニカル機構の減少や一般製品の価格競争により、ここ数年で約800億円程度の売上高が減少する可能性もあるが、既存製品の付加価値向上やシェア拡大、新規事業の推進でカバーする考え。時代の潮流に柔軟に対応した戦略で将来の成長をつかむ。
日刊工業新聞2022年7月8日

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