子どもの車内放置を防げ!トヨタ系部品メーカーなどが車載センサー技術生かす
子どもの車内放置が後を絶たない中、センサー技術を活用した対策を事業化する動きが広がっている。東海理化は2025年の販売を目指し、子どもの車内置き去りを検知するシステムの開発に着手。三洋貿易はルクセンブルク・IEE製の車載センサーを23年から順次国内市場に導入する。夏場になると車内が高温状態になり、取り残された子どもが熱中症になったり死亡したりするケースが少なくない。悲惨な事故の撲滅に向けて各社は本腰を入れる。
東海理化の検知システムはミリ波レーダーを搭載したセンサーを車室内上部などに配置し、生体の有無を判定するもの。一つのセンサーで3列シート車に対応できるのが特徴だ。後ろ向きチャイルドシートの幼児だけでなく6歳までの子どもを検知するほか、足元を含む車室内すべてを検知エリアとする。
幼児の場合、チャイルドシートで寝ていることも多いため、毛布が掛かる場合などではカメラで動きを検知しにくい。そこで距離や速度、角度を把握できるミリ波レーダーで車内の動きを監視し、検知の精度を高める。同社のシステムは運転者が幼児を車内に残して出て行くとアラームが鳴るほか、スマートフォンへの通知、車室内の温度を下げるなどの対応をとる。
欧州に投入する新車の安全総合評価「ユーロNCAP」では、子どもの置き去りを検知する機能について、23年から段階的に評価項目に加えられ25年の本格運用になる。東海理化はこれを踏まえ、25年をめどにシステムの実装・販売を目指す。
三洋貿易が販売するIEE製のセンサーは乗用車用とバス用の2種類。乗用車用は60ギガヘルツ(ギガは10億)帯の周波数を使用し、人の体格や顔は検知せずプライバシーを保護しながら、毛布の下にいる新生児の呼吸を検知する精度を有する。
子どもの熱中症事故を防止する製品として訴求し27年に乗用車用で年間30万台、バス用で年間2000台への搭載を目指す。同製品を柱に車載センサー事業の拡大を図る。
同社は車載センサー大手のIEEと05年に国内代理店契約を締結。新谷正伸社長は「直近でも置き去り事故が起こっている。1人の被害も出さないよう導入を進めたい」とする。
日本自動車連盟(JAF)の調査によると、真夏(晴れ、気温35度C)の車内ではエアコン停止から約15分で熱中症指数が危険レベルに達した。特に乳幼児は体温調節機能が未発達で、高温下では短時間で体温が上昇し死に至ることがあるという。