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トヨタ系が「半導体・IC」外販加速、訴求する特長

東海理化は社内で製造する半導体や半導体集積回路(IC)の外販を拡大する。特定用途や機器向けに必要な機能をひとまとめにして設計・製造する「ASIC」の受注に乗り出し、電子部品の基板小型化や実装部品点数削減に貢献する。大量生産ではなく、少量からでも対応する半導体受託製造(ファウンドリー)としての特徴を訴求する。同社は半導体の製造工程の多くを内製し、安定供給が可能。サプライチェーン(供給網)の安定化を指向する顧客のニーズに応える。

保有する技術を流用し、顧客の専用ICを製造する。多様なカスタマイズ(個別対応)を可能にし、機器の小型化・高機能化に貢献する。新たなICを製造したい事業者や企業のニーズを取り込む。

大手半導体メーカーでは数百万枚のウエハー製造を行うが、同社は1枚から提供可能という。試作だけでなく量産にも対応する。航空宇宙業界など安全性確保のため、異なる設計思想をもった製品を開発する場合など多様な要望に応える。

コスト面は基板の小型化や実装部品点数の削減で補う。同社のカスタマイズ(個別対応)により実装部品点数を約43%減、プリント基板サイズは約27%減、両面実装から片面実装へ移行した事例もある。

東海理化は社内に半導体工場を持つのが特徴。ウエハーを加工し、素子開発からICの実装までを行う技術を保有する。材料となる円柱状の塊「インゴット」を輪切りにしたシリコンウエハーを仕入れるだけで、配線の加工などそれ以降の工程は全て社内で対応可能だ。

キーロックと暗号化技術を組み合わせた盗難防止性能を持つシステム「イモビライザー」に内蔵されたICチップなども手がける。足元では半導体不足が取り沙汰されるが、多くの工程を内製できるため安定供給を可能にしている。

日刊工業新聞2022年5月25日

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