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iPSから網膜色素細胞を分化誘導、理研がロボットとAIで効率向上

iPSから網膜色素細胞を分化誘導、理研がロボットとAIで効率向上

iPS細胞からRPE細胞の分化誘導工程をヒューマノイドロボットに実装

理化学研究所の神田元紀上級研究員らは、ロボットと人工知能(AI)を用いてiPS細胞(人工多能性幹細胞)から網膜色素上皮細胞(RPE細胞)への分化誘導効率を高める培養条件を自律的に発見できることを実証したと発表した。従来、人が担った作業の一部をロボットが行うことで、高品質な再生細胞の連続生産につながる可能性がある。

細胞培養は微細な操作の違いが出てくるため、「匠の技」が必要となる。だが作業の熟練者が不足しており、連続生産のボトルネックになっている。また、匠の技や暗黙知の教育コストも高い。

理研が持つ実験用ヒューマノイドロボットシステムに、新たに開発したAIシステムを搭載。iPS細胞からRPE細胞を分化誘導する基本的な工程のほか、「扉をゆっくりと閉める」など、匠の習慣も実装させた。同日開いた会見で、神田上級研究員は「細胞培養の作業から解放される」とした。成果は28日付の英オンライン科学誌「イーライフ」に掲載される。

日刊工業新聞2022年6月28日

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