「物価高」「電力危機」…東京都はどう向き合うか

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物価高に加え、需給逼迫(ひっぱく)の長期化さえ懸念される厳しい電力事情―。コロナ禍からの回復途上にある中小企業を直撃する厳しい経済情勢に対処するため、東京都が講じる追加対策が動き出す。財源の裏付けとなる総額4283億円の補正予算が15日に成立。ウクライナ危機をきっかけに顕在化する構造的な課題に向き合う内容だ。(編集委員・神崎明子)

対策の柱はウクライナ危機を発端とする原油・原材料価格の高騰や円安に伴う物価高の影響をとりわけ大きく受ける中小企業支援と、まずは今夏の電力需給の逼迫を回避するための施策。中小企業に対しては資金繰りと経営の両面から支える。

金融支援では信用保証料の補助率拡充や利子補給の新たな枠組みを創設。新型コロナ関連融資の残高を抱える事業者を対象とする既存の借換制度もこの枠組みに統合し、同じく利子補給を実施するなど債務負担の軽減を図る。経営面では円安を逆手に、輸出拡大を目指す中小企業の技術や製品を海外に売り込む際の販促支援や貿易保険料の助成を決定。サプライチェーン(供給網)の見直しを検討する企業には、新たな取引先を求めて展示会や見本市に出展する際の費用も支援する。 

一方、綱渡りのエネルギー事情を踏まえ、電力確保や省エネに向けた取り組みを施策面で下支えする。象徴的なのは、電力系統に接続する大規模蓄電池を導入する事業者への支援だ。再生可能エネルギーの利用拡大が叫ばれる一方、普及のネックは大量導入に伴う系統安定性の問題。これを解決するため、需給のバランス調整を行う事業者への支援を決めた。同様の事業は国も始めているが、都としても東京電力管内の電力系統に直接接続する蓄電池の導入を促すことにした。なお蓄電池の設置場所は都内に限定しないという。

ほかにも、民間事業者が都内に設置する自家消費型の再生可能エネルギー設備の設置支援について、設備の下限容量の撤廃や都外に設置する設備も補助対象に追加するなどの拡充を図った。

各国の政策判断に大きく左右される為替やエネルギー需給構造の問題。これらは企業努力ではいかんともしがたいのが実情だ。小池百合子知事は「残念ながらこの状況は長く続くとみなければならない」と長期戦を覚悟する。その上で「極めて難しい状況を、どうやってわが国のターニングポイントにしていくか」との認識を示す。一連の対策では、高い断熱や省エネ性能を持つ住宅の普及拡大に向け、助成拡充や税制優遇措置も盛り込んだ。小池知事はこれらを引き合いに、「いまどうするかが将来を決定づける」と強調。中長期的な視点で施策運営にあたる構えだ。

日刊工業新聞2022年6月17日

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