EV時代でも…自動車部品メーカーがしのぎ削る、「内燃機関」の進化を見逃すな

人とくるまのテクノロジー展(下)

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三輪精機のEGRクーラーバイパスバルブ

自動車の新潮流であるCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)が脚光を浴びがちだが、内燃機関や排気系も着実に進化している。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に寄与する取り組みでもあり、部品メーカー各社が技術開発でしのぎを削る。「人とくるまのテクノロジー展」でも、燃費改善や軽量化につながる部品が目を引く。

三五(名古屋市熱田区)は、軽量化した排気管やマフラーを出展した。マフラーには大きく、エンジン音を消音する機能と触媒コンバーターでガスを浄化する役割がある。この二つの機能を維持しつつ、設計構造を見直したほか、ステンレスを巻く構造から、溶接する工法へと変更。5・2キログラムの軽量化を達成した。

ステンレス素材の使用量を減らし、年間2000トンの二酸化炭素(CO2)を削減。環境にも配慮する。山田高志執行役員は「電気自動車(EV)が普及すれば排気管はなくなるが、今すぐの話ではない。軽量化・環境負荷低減は直近で必要な技術」と強調する。

愛三工業は量産出荷する燃料ポンプモジュールのうち、重量を低減した開発品を紹介した。構成部品のそれぞれで設計の工夫などを積み重ね、品質は落とさずに材料を減らす。例えば燃料を吸い上げてエンジンに送る部品「インペラ」やエンジンに異物が入るのを防ぐフィルターを改良。小型化を実現することで燃費を向上し、CO2削減にも貢献する。

三輪精機(埼玉県川越市)は排気ガス再循環装置(EGR)のクーラーバイパスバルブを展示。バタフライバルブを採用することで少ない力で作動し、アクチュエーターを小型かつ軽量にできる。樹脂製アクチュエーターの使用でさらに軽量化でき、エンジンへの搭載性を高めた。

日本ピストンリングは、エンジンの熱効率向上に寄与する組み立て式の焼結カムシャフトを披露した。組み立て式にすることで、カム部分のみ強度を上げるなど、エンジン設計に合わせて改良でき「軽量化対応や軸剛性、耐摩耗性向上などのニーズに応える」(技術企画グループ)。

生産終了したクラシックカーの内燃機関部品などのレストア(復元)事業を展開するJMC。一例として、日産自動車が製造していたL型エンジン用のシリンダーヘッドを展示した。コンピューター断層撮影装置(CT)スキャンで形状を再現しつつ肉厚を確保するとともに、設計変更で強度を高めた。担当者は「クルマを長く乗り継ぐこともカーボンニュートラルにつながるのでは」とした。

2030年でも純粋なEVは世界の総需要の3割程度と言われ、内燃機関や排気系部品の需要はまだまだ健在。部品各社は技術開発に磨きをかける。

日刊工業新聞2022年5月27日

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