ホンダ系サプライヤー、「非ホンダ」向け取引を拡大する事情

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4月に就任したホンダの三部敏宏社長(公式ツイッターより)

提案力高め、展示会でPR

ホンダ系サプライヤーが、「非ホンダ」向け取引の拡大を図る動きが強まっている。ホンダ以外の完成車メーカーからの受注獲得を目指し拠点を新設したり、展示会に出て製品や技術を訴求したりしている。ホンダとの関係強化を図りつつ、新規顧客との取引を拡大し、ホンダの動向に左右されにくい事業体質を構築する。(江上佑美子)

エフテックは、インドで現地企業と合弁会社を設立し4月に駐在員を配置した。スズキの4輪生産子会社への製品供給を狙いとしており、エフテックの福田祐一社長は「インドへの事業展開を新たな成長につなげる」と説明する。同社は売上高の約7割がホンダ向けだ。スズキのほかにトヨタ自動車との取引拡大も今後の重要テーマに据える。アジアを皮切りに、北米と日本でトヨタ向けのシャシー部品を受注した。

また八千代工業は春に、鈴鹿工場(三重県鈴鹿市)で大型のバンパーを生産できる3500トンの射出成形機を稼働した。ホンダ向けに加え、ダイハツ工業からの受注に対応する狙いだ。

テイ・エステック(TSテック)は現在は1割以下であるホンダグループ以外からの受注を、30年に3割程度に高める目標を掲げる。新規顧客からの受注について保田真成社長は、「一つ目の仕事を取るのは難しい」とした上で、「付き合いが始まれば、当社製品の良さを分かってもらえる」と自信を見せる。足元では、独フォルクスワーゲン(VW)との取引が拡大傾向だ。

森六ホールディングス(HD)は、開催中のオンライン展示会「人とくるまのテクノロジー展」で、樹脂製バックドアや多層成形技術などを紹介している。同社は樹脂加工製品事業の売り上げのうち、9割がホンダ向け。これまで展示会への出展はほとんどしてこなかったが、新規顧客の獲得に向け出展を決めた。

外資系完成車メーカーへの提案活動も積極化しており、20年度はVWのスポーツ多目的車(SUV)「タオス」向け部品の量産を実施。24年には新規取引先の独アウディに供給する部品の生産を始める。森六HDの栗田尚社長は「欧州系メーカーとの商談のノウハウも蓄積されてきた。さらなる受注増を目指す」と意欲を見せる。

八千代工業の加藤憲嗣社長は「いろいろな企業とビジネスをする中で、独自の競争力を身に付けていきたい」と話す。各社はホンダ以外の完成車との取引を拡大し業績の安定化を図るとともに、技術力や提案力を高め、持続成長につなげる。

森六HDはホンダ以外への販路も拡大し、持続的な成長を目指す(VWのSUV「タオス」部品)

日刊工業新聞2021年6月4日

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