苦戦の「ステップワゴン」全面改良、ホンダが反転攻勢へ突き詰めた“シンプルさ”の全容

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発表された新型「ステップワゴン」と安部典明執行役常務日本本部長(右)と蟻坂篤史開発責任者

ホンダはミニバン「ステップワゴン」を7年ぶりに全面改良し、発売した。ステップワゴンは1996年の投入以降、累計170万台超を売り上げた同社の代表車種の一つ。今回で6代目となる。2010年には8万934台を販売し、ミニバン市場で1位となるなどの人気を誇ったが、近年の販売台数は低迷している。シンプルさを突き詰めることで他社と差別化し、巻き返しを図る戦略は吉と出るか。(江上佑美子)

「新型ステップワゴンの使命は、ホンダを代表する『ど真ん中ファミリーミニバン』としてお客さまに選ばれ続けることにある」。日本事業を担当する安部典明執行役常務はステップワゴンについてこう強調する。

ステップワゴンが位置する中型ミニバンはミニバン市場の約半分を占めており、競争が激化している。トヨタ自動車も1月に「ノア」「ヴォクシー」を全面改良した。「ステップワゴンはかつてはミニバン市場シェア1位だったが、苦戦を強いられているのが現状。反転攻勢をかけたい」(安部執行役常務)。そこで打ち出したのが“シンプルさ”だ。

ミニバン市場では存在感のあるフロントデザインの車両が多くを占める。ホンダの調査では、約3割がミニバンにスタイリッシュさよりもシンプルさを求めると答えた。「この3割のニーズに応えるミニバンが今までなかった」(開発責任者の蟻坂篤史氏)。不安定な社会情勢も影響し、安心感のあるデザインへのニーズが高まっていると判断した。

国内のホンダ車で史上最大の室内空間を確保。シンプルなデザインの「エアー」のほか、精悍(せいかん)さを追求した「スパーダ」の2ブランドを揃(そろ)えることで、スタイリッシュなクルマへのニーズにも対応した。消費税込みの価格は299万8600円から。月間販売計画は5000台とした。

ホンダはステップワゴンで、ガソリン車と2モーター式のハイブリッドシステム「e:HEV」搭載車の2種類を展開している。現在のハイブリッド車(HV)比率は37%だが、新型では60%に高まると見込む。

リスクは中国・上海のロックダウン(都市封鎖)などに伴う部品不足だ。新型ステップワゴンは注文から納車までにガソリン車の場合で約4カ月、HVの場合で約5カ月かかる見込みだ。安部執行役常務は「お客さまには大変なご迷惑をかけている。在庫確保を強化し、生産安定化に向けて最大の努力をする」と力を込める。

日刊工業新聞2022年5月27日

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